ミケーネは、言わずと知れたミケーネ文明(紀元前十六世紀から十二世紀頃)の中心地。ペロポネソス半島の北東部、アルゴリスに位置する。ホメロスの『イリアス(イーリアス)』で、トロイアを攻めるギリシャ軍を率いたのは、ミケーネ王アガメムノン(この物語が厳密に史実かどうかについては議論がある)。
上に写っているのは「ライオン門」。
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| ミケーネのアクロポリス |
<行き方>
ナフプリオ、アルゴス、トロからバスが出ており、ミキネス(現代のミケーネの町)に停車する(アルゴリスKTELの時刻表。コリントからもバスがあるらしい)。ミキネスには電車も停まる。ミケーネだけを一日かけて観光するなら、公共交通でも大丈夫かもしれないが、それほど時間に余裕のない人は、レンタカーを借りるか、ツアーを利用した方がいいだろう。また、遺跡の周りには、売店はあってもレストランはないので(ミキネスの町にはある)、バスを利用して訪れる人は気をつけよう。
現在のミケーネ遺跡に立ってみると、なぜこんな不便そうな場所に都市をつくったのか不思議な感じがするが、古代にはコリント湾とアルゴス湾を結ぶ道路が通る交通の要所だった。ミケーネがどんなきっかけで大きな発展をとげるようになったのかは不明だが、前十七世紀末頃に巨大な墓がつくられ始め、この時代には富裕な貴族階層が存在したことが分かる。また、クレタのミノア文明から影響を受けていることから、通商にたずさわっていたことがうかがえる。
2010年4月現在、入場料は8ユーロ。この中には、メインの遺跡と博物館、「アトレウスの宝庫」(「アガメムノンの墓廟」とも呼ばれる)の入場料が含まれている。それぞれの場所でチケットを提示しなければならないので、途中で捨ててはならない。博物館はメインの遺跡の中にあるが、アトレウスの宝庫は少し離れた所にあり、入り口も駐車場も別にある。
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| 北門 |
発掘の歴史
ホメロスの影響から、ミケーネに対する関心は高く、大規模な発掘が比較的早い時期、1874年〜76年、ハインリッヒ・シュリーマンによって始められた。円形墓Aはこのシュリーマンによって発見され、そこからは計14キログラムもの黄金の奉納品が見つかった。シュリーマンの後は、ギリシャ考古学協会が、考古学者スタマタキス、次いでツゥンタスの指揮の下、発掘を続ける。1920〜23年、1939年には、ブリティッシュ・スクールが、アラン・ウェイス指揮の下、大規模な発掘を行って、年代確定に重要な貢献をもたらした。第二次世界大戦後も、ブリティッシュ・スクールは1950年から55年にわたって考古学調査を行った。考古学調査はその後も続き、1958年からは有名なギリシャ人(アメリカに帰化)考古学者ヨルゴス・E・ミロナスも発掘を指揮した。
ミケーネの神話
アポロドロスによれば、ミケーネを創建したのは英雄ペルセウス(ゼウスとダナエの間に生まれた息子)。彼は祖父であるアルゴス王アクリシオスを誤って殺害した後、ティリンス王のもとを訪れ、ティリンスとアルゴスを交換した。こうしてティリンスに移ったペルセウスが前14世紀頃(推定)にミケーネを創建したとされる。
ここにミケーネという都市が創建されたのは、ここでペルセウスの剣の柄(mykes)が落ちたからだとも、きのこ(mykes)が生えていた場所で彼が水源を発見したからだとも言われる。
ペルセウス朝はエウリュステウス(ヘラクレスに12の難行を課したことで知られる人物)を最後に途絶え、その後は、ペロプス王とヒッポダメイア(アクリシオスの孫に当たる)の息子アトレイウスが支配者となり、アトレイウスの息子であるアガメムノンは、前13世紀に戦われたと推定されるトロイア戦争でギリシャ軍を率いた。
ミケーネの歴史
ミケーネにおける人の居住は、新石器時代、前3000年頃にまで遡る。前2000年頃、アカイア人がアルゴス平野に定住した時からミケーネの発展が始まったらしい。
有力な貴族層が形成されたのは16世紀から15世紀初めのことで、円形墓Bと
円形墓A(円形墓Bの方が先に使用が始まったが、前1600年頃からは両方同時に使われ続ける)はこの時代に属する。
ミケーネが地中海全域に勢力を伸ばし始めたのは前1450年ごろから。前1350年頃には市壁が造られ、前1330年頃には王宮を中心にした城砦都市が形成される。前13世紀には市壁が拡大され、
ライオン門や
アトレウスの宝庫が造られたのもこの時期。
トロイア戦争は前13世紀の末の出来事だと考えられているが、その後ミケーネは衰退し始めた模様。王宮は火災で焼失、前12世紀の末頃までには、重要な都市としての機能を失ったようである。
幾何学文様時代、アーカイック期、古典期を通じて、ミケーネは存在し続けるが、前468年、アルゴスとの戦いに敗れ、城砦は再び破壊される。ヘレニズム時代アルゴスはミケーネを再建し、その後ローマ時代まで存続した。
参考文献
- George E. Mylonas, Ancient Mycenae: the capital city of Agamemnon. London : Routledge & Kegan Paul, 1957
- Nicos Papahatzis, Mycenae, Epidaurus, Tiryns, Nauplion. Athens : Clio, 1978, pp. 56-85.
- Elsie Spathari, Mycenae : A Guide to the History and Archaeology. Athens : Hesperos, 2001.
- Robin Barber, Greece (Blue Guide), London- N.Y. 2001 (Revised reprint of the 6th edition of 1995), pp. 221-232.
- Christopher Mee & Antony Spawforth, Greece (An Oxford Archaeological Guide). Oxford/ OUP, 2001, pp. 178-187.
- Elizabeth French, Mycenae : Agamemnon's capital : the site in its setting. Stround: Tempus, 2002.
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